2008年05月12日

【講義録】屋根神とは -屋根神さまの研究史2-

 次に芥子川律治先生の「屋根神さま」ですが、これは屋根神さまを調べるにあたって基本的な資料になるかと思います。
 名古屋市教育委員会の文化財保護室が名古屋文化財叢書というのを出しています。
 これは芥子川先生が昭和56年に出されましたが、芥子川先生は前津中学校の先生をしながら名古屋弁の研究をしていて、名古屋弁の大家でもあります。
 郷土史についても詳しくて元禄武士の生活を書いた本も書かれました。
 先生は「屋根神さまは名古屋独特のものである」から細かく調べなくてはならんということで、ご自身で200カ所以上回られました。
 昭和54年には、なくなったものの聞き書きできたものも含めてトータル254社。
 本書では各区ごとに細かく調べられております。
 どういうところにまつってあるのか、どういう神さまをまつっているのか、というようなことまで細かくお書きになっています。
 芥子川先生のお考えによると、もともとは病気の神さん、病気を抑えてくれる津島の天王信仰が中心になっているといわれます。
 天王信仰は昔から名古屋、この地域に広く分布していて、それが基本になっているのではないか、さらに、屋根神さんは明治10年代ころからできはじめて、20〜30年代の日清、日露戦争をきっかけとして増えていったのではないかとお書きになっています。

 4番目の岡本大三郎さんは野外活動研究会という名古屋の様々な場所を観察する会のメンバーで、「屋根神さん」という小さな写真集を出版されました。
 写真集としては一番最初のものでしょう。
 非常にきれいな写真集でありまして200体くらいの写真が載っていたように記憶しております。

 次に山地英樹さんという方が「なごやの屋根神さま」という非常に立派な写真集を出されております。
 すでになくなってしまったものもあり、非常に貴重な記録になっております。
この中に近藤宗光さんという郷土史に非常に詳しい方が、「町内安全の神様」ということで屋根神さまについて解説をお書きになっております。
 そこでは、東双葉町の屋根神さんには明治5年の記録のある手桶が残っており、そのことから屋根神さんが明治の初め、もしくはもう少し古くからあったのではないか、ということに加え、一宮や岐阜といった、名古屋以外の場所、滋賀県にもあるとお書きになっております。

 さらに、今回皆さんのお手持ちになっている「西区の屋根神さまマップ」。
これは「特色のある町づくり研究会」が平成13年にお作りになられたということで、これは私も屋根神さんを観察するためのバイブルでありまして、写真もきれいで非常に優れたものであります。

 最後に森実さんの屋根神さまの写真展。名古屋市市政資料館と金山の都市センターでの写真展ですが、こういうものが屋根神さまの研究史となるわけです。


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モリマコトの紹介
1973年7月、名古屋市瑞穂区出身。立命館大学卒業後、韓国・ソウルに遊学。帰国後の「ふがいない時期」に図書館で偶然であった屋根神さまに魅せられる。現在、名古屋市内を中心に愛知、岐阜の屋根神さまを撮り歩き、「屋根神さまのある風景」「まちの文化遺産屋根神さま」等の写真展も開催している。名古屋市熱田区在住。